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ISAを活用した、看護師向けの奨学金事業

株式会社EduCare

実行中

更新日:2022.10.11

海外で普及し始めている「SNPL(Study Now, Pay Later)」の分野において、日本では恐らく初めてのfintech ×edtechスタートアップを起業し、「ISA」という学費の出世払いの仕組みを、まずは看護業界からはじめています。

6/30に起業したばかりですが、有難いことに、設立直後(起業前から)にVCから出資を受け、東京都からも「令和四年度 フィンテック企業等に対するイノベーション支援事業(事業化支援)」に採択・補助をいただきました。

他企業に模倣されないように、ビジネスモデル特許を出願し、また経産省や金融庁と「貸金業法」などの法律についての対話やロビイング、また病院への営業をしています。

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アクション詳細

目指す社会のあり方、ビジョン

 経済的事情によらず全ての学生や社会人が優れた教育を受け、卒業後も「生き生き」と働けるように、そしてすべての学校/企業/病院といったパートナーが教育や事業活動に専念できるよう支援していくことを目指す、「Edtech×Fintech」領域のスタートアップです。将来的には、看護業界だけでなく他業界にも広げ、「金融×教育」「学費」の分野でイノベーションを起こし、経済的事情によらず教育へのアクセスを可能とし、人生を向上させる教育機会を与える金融・技術インフラを構築したいと考えています。

➀どんなにAIやアダプティブ・ラーニングなどを活用して学習自体を効率化しても、そもそもおカネがなければ学校で教育を受けることはできません。「経済格差」⇒「教育格差」⇒「経済格差」・・の負のループを断ち切り、本人および家族の経済的事情によらず、高度な教育を受けることができるような、過去・現在の収入でなく、「未来の可能性」に投資できる世界を理想とします。

②「教育は、個人のキャリアの幅を広げるもの」という考えのもと、学生本人にとっては就職先に縛られずに教育を受けることを可能にし、また長い間勤めること、もしくは人材が不足している地域・病院・企業に行くことを促す制度によって、学生本人だけでなく病院・企業・社会のステークホルダー全員にもメリットがあり、サステナブルな仕組みが享受できるような世界を理想とします。

③お金を貸した後も、継続的に職業訓練や金融教育などを学生に行うことで、学生本人の経済的収入も高めることで、貸し手にとっては借り手の返済可能性が高まり、学校や金融機関等の「お金の出し手」と学生のインセンティブ・ゴールを一致させ、結果的に、貸し手・借り手双方にもメリットになるような世界を理想とします。

現状とビジョンのギャップ、課題の構造

新事業は、看護業界の①看護学生・看護師、②看護学校、③病院といったプレイヤー各々が抱えている以下の社会的課題を、アメリカ、イギリス、スペインをはじめとした海外で徐々に普及している新たな学費支援制度を活用して解決し、将来的には看護業界だけでなく、経済的事情によって教育を受ける機会を断念してしまう学生を減らすことで、日本国における様々な業界の高等教育へのアクセスを広げたいとの想いによるものである。

 

  • 看護学生・看護師 :

特に私立においては、学部・大学院双方とも学費が高く、全国的な世帯収入の低下傾向も重なり、自費で学費満額を工面できる学生や世帯の割合が、他の業界に比べて著しく少ない(看護師や病院関係者などの業界関係者へのインタビューによれば、何らかの奨学金を使って進学している割合は4割程度とのこと)。一方で、学費支援を要する場合には、所謂「お礼奉公」と言われる「病院奨学金」制度(病院が、看護学生の学費相当額の全部又は一部を貸与し、当該看護学生が当該病院に卒業後一定期間勤務することを条件として、貸与金の全部又は一部の返済を免除するもの。)を使用することが業界的に多くみられ、近年その使用割合が増えている。この制度は学費が免除される代わりに、看護学校卒業後に、その病院で35年程度の勤務が求められ、奉公期間の途中で辞めると利子付きで全額一括もしくは定額で返済が求められることが一般的である。看護師が当該病院に対して満足している場合は双方にとって良い制度ではあるものの、中には、①病院の激しい労働環境や、②「お礼奉公」を締結する時期が高校3年時や大学1年生の1学期時点であることが多いことから、45年先の就職先を正確に見極められないこと、③家庭の事情等によりUターンで地元に戻らないといけない、等の背景により就職ミスマッチが生じる看護師が多く、一方で奉公期間の途中で辞めてしまうと上記のように返済が求められることから、特に若年看護師にとっては過度なプレッシャーを抱え精神疾患を抱える者や、退職に追い込まれるケースが増加し大きな問題となっている。

 

  • 看護学校:

全国的には看護大学の数は急増しているものの、学費が高いこと等の要因から、供給側の数と需要側の数が釣り合わず、特に地方の私立の学校においては、定員割れの学校が多く、オープンキャンパス等を実施しても学生が集まらず、入学者数の確保や学校経営に苦心している。

 

  • 病院:

労働市場において看護職は極めて有効求人倍率が高く「売り手市場」であることから、気軽に転職ができてしまう状況にある中、上述の様に、激しい労働環境等による就職ミスマッチによって、特に若年看護師が病院に定着せず退職してしまい、都心の人気のある大規模病院や地方の国立大学病院を除き、多くの中小病院では慢性的な看護師不足、若年看護師の退職が増加している状況である。一方、病院側には診療報酬制度上、患者7人に対し看護師1人配置すること等が原則的に求められていることから、不足する看護人員を補充するために人材紹介会社に対して多額の人材紹介報酬(年収の2530%)を支払っている病院が多い。看護系の人材会社は看護師個人に対して転職を必要以上に誘発している状況の中、一般的に、病院のコストで一番大きな割合を占めるのが「看護師に係る人件費」であることもあり、都心の国立大学病院や一部の人気病院を除けば、日本の大多数の病院(主に地方の200床以下の病院)は、人件費の増加により病院経営が圧迫されている。これらの状況や昨今のコロナ禍も相俟って、全国の6割程度の病院が赤字と言われ大きな問題となっている。

 

一方、海外に目を向けると、近年、アメリカやイギリス、スペイン、中南米等において、ISA(Income Share Agreement、所得分配契約)という学費を免除する代わりに、学生が就職後に一定以上の収入となった際に、所定の割合(月給の515%など)を5年~10年程度かけて支払う『学費の出世払いモデル』が徐々に普及している。これは教育業界では近年で最大のイノベーションとも言われ、特に学費ローン大国であるアメリカで注目を浴びており、メディカルスクールや、ロースクール、MBA、一般大学、プログラミングスクール、STEM教育の学校などで取り入れられ始めている。

 

本事業は、このISAを活用して、まずは、看護業界における上記課題を解決することを企図するものである。当初は看護業界に焦点を当てた上で、「消費者保護」に徹底的に配慮しながら、当該業界の抱える上記課題の解決を行うとともに、「地方の医療従事者不足」「病院の定着率低下」といった社会課題を解決することに貢献し、「極めて公益性の高いモデル」「看護師/看護学生・看護学校・病院・社会にとって、四方よしの事業」にしたいと考える。また、将来的には、このモデルを医師や工学エンジニア、法曹など他業界にも広げたいと考えている。ビジョンとして「金融×教育」「学費」の分野でイノベーションを起こし、経済的事情によらず教育へのアクセスを可能とし、人生を向上させる教育機会を与える金融・技術インフラを構築したいと考えている。

アプローチの方法

①病院奨学金残高を抱えている看護師(看護学生を含む場合もある。以下同じ。)に対し、ISAIncome Share Agreement、所得分配契約。以下同じ。)へ「リファイナンス」することを支援する事業、もしくは②看護師が看護大学・大学院等への進学に際し必要な学費を病院がISAにて拠出することを支援する事業

 

※弊社のISAサービスについては、特にビジネスモデルを中心とした特許及び商標等の実績が豊富であり、知財や金融、ITシステム全般に精通している原田国際特許商標事務所に広範な調査を依頼の上、「新規性」「革新性」「社会性の高さ」からビジネスモデル特許を2022年8月に出願済みです(特許出願番号「特願2022-136928」)

 

今後のマイルストーン

ISAの認知度がまだ日本では全くないので、まずは東京都より採択された実証実験・社会実装として、2023年の34月頃までに、12病院と、パイロット的に実験して、看護師と病院のニーズを確かめられたら、来年秋ごろから本格的にシステムなどを開発して、事業運営を予定。そのため現在は、一つ一つの病院と話し、マニュアルでサービスを実証的にやるというフェーズになり、病院や自治体にアプローチをしている。

必要なリソースや提案したいこと

エンジニアや、ネットワークの提供など、ビジョンに共感いただき支援を頂ける人と積極的に話したい(個別にメッセージをください)

一緒に参画いただける方募集中!

  • JOB(委託・パート・雇用)

    特にエンジニアなど、興味ある方と積極的に話したいです

  • インターン

    特にエンジニアなど、興味ある方と積極的に話したいです

  • 連携メニュー(法人・団体)

アクションリーダー プロフィール

村上 健太

2015年 東京大学 経済学部卒業

GE(General Electric)で金融営業に従事

KPMG FASにてM&Aアドバイザリー業務を 5年間従事

国内海外問わず大企業向けの買手・売手側FA業務、企業価値評価に従事。「ヘルスケアスタートアップ」の製薬卸への売却といったスタートアップの買手・売手側双方の業務も経験

団体/企業詳細

団体名
  • 株式会社EduCare
活動地域
  • 日本

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