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アフターコロナ時代を見据え、障害福祉サービスの「完全オンライン化」に挑戦する。

株式会社Kaien

実行中

更新日:2020.05.29

Kaienはコロナウイルス感染拡大に伴い、障害福祉サービスの「完全オンライン化」に取り組んでいます。

完全オンライン化とは、利用者も支援者も原則在宅からつなげるシステム・プログラムです。2020年4月10日時点で、行政のルール上、事業所等で行う必要がある業務を除き、ほぼ100%のやり取りや支援を在宅で行っています。

このような状況の中で、就職者も輩出させ続けています。引き続きご本人の支援と企業への働きかけを進め、コロナショック後にはこの経験を活かして次のステージのサービスを提供することを目指します。

キーワード

アクション詳細

目指す社会のあり方、ビジョン

最も難しい障害と言われた発達障害

起業から9年。これまで職業訓練のプログラムに入った発達障害者の、実に8割以上が就職しました。登録者はまもなく7,000人。この9年間で大人だけでなく大学生・専門学校生や小中高生までサービスを広げており、定期的に1,000人以上の人が利用しています。

発達障害の持つ力に着目し、十人単位で発達障害の雇用を続けている企業も複数あります。本当に嬉しい限りです。ただ私たちの力不足で、就職に繋げられる能力を持つ多くの人をまだ支援しきれていません。本音ではこの10倍ぐらい就職し活躍できても良いと思っています。まだ世の中に発達障害の人の才能を伝えきれておらず、毎日毎日、自分たちの不甲斐なさに苛立っています。

一方で「最も難しい障害」と言われた発達障害への支援状況を知る福祉関係者からすると、Kaienの就職成功率は驚異的な数字のようです。発達障害は一人ひとり特性が広すぎ、画一的な方法論が通用しないと多くの福祉の人から思われていたからです。実際事業を始める前に発達障害の研究者や、ハローワークなど既存の就労支援の職員などから「絶対無理」と言われていました。

業界の常識を変える

そうした当時の常識を覆し、ある程度画一化したプログラムの中で各人の力を見極め、弱みを見えづらくし強みを浮き立たせることに取り組んだのが当社Kaienです。今でも発達障害×仕事×強みの視点から社会への切込みを続けています。

アプローチの方法

4つの事業

1. 就労支援事業:大人向け就労移行支援事業・就労定着支援事業(Kaien)、大学生向け就職支援事業(ガクプロ)
2. 人材紹介事業:発達障害の方向け転職サイト(マイナーリーグ)運営、人事コンサルティング事業
3. 教育事業:放課後デイサービス事業(TEENS)
4. 啓発事業:発達障害の可能性や魅力を広く社会に伝える講演/研修・研究/出版等

「完全オンライン化」の取り組み

▼就労移行支援・生活訓練(利用者 約200人)

・早起き・運動チャレンジ
朝会(一斉ウェブ配信)で起床時間と運動量の投票を日々行いポイント化。利用拠点単位で競いながら、生活リズムや心身のバランスを保つ取り組みです。

・職業訓練のオンライン化
普段は事業所で行っている「事務体験」に加えて、「在宅ワーク体験」の新プログラムも提供。プログラミングやITパスポートなどスキルアップの特別講座も行うほか、フリーランスや独立のためのビジネスプランコンテストも今月開催予定です。

・就活支援 ウェブ説明会
Zoomなどを活用して、個別相談を普段よりも頻度を上げて行っているほか、趣旨にご賛同いただいた企業様に「ウェブ説明会」を開催してもらっています。在宅にいながら、企業の人事担当者の説明を聞いたり、採用活動を行うなどしています。

▼ガクプロ (利用者 約200人)

・オンラインセッション使い放題
大学や専門学校がスタートせず、普段の生活リズムが崩れたり、就活準備が滞ってしまっている学生が多く見られます。そのため、平日日中・夕方・週末の3種類のセッションを、全利用者に使い放題で開放中。特に夕方は利用者の数十%が常にログインする人気講座となっています。(就活支援、職業訓練、ライフスキル・ビジネススキル講座、雑談コーナーなどが内容です)

Kaienが大学生向けに提供する「ガクプロ」のオンライン講座の様子。利用率はオンライン化以前よりも数十%上昇しており、新規t利用加入や企業への就職も着実に増えているという。

▲Kaienが大学生向けに提供する「ガクプロ」のオンライン講座の様子。利用率はオンライン化以前よりも数十%上昇しており、新規利用や企業への就職も着実に増えているという。

▼就労定着支援(利用者 約150人+)

・雇用維持に向けて
修了生のうち多くの人が在宅ワークとなっている上、雇用継続の不安を感じている方も多くいます。このため、個別相談も平日だけではなく週末もオンラインで相談に応じて、今後の対策をアドバイスしています。

・ストレス発散のオンライン飲み会
サロンといわれる隔月の飲み会。修了した事業所で毎回数十人が集まるイベントでしたがこちらもオンライン化を果たしています。金曜夜に毎週開催中です。

▼放課後等デイサービス TEENS (利用者 約600人)

小中高生向けのプログラムも、すべてオンラインでのセッションになっています。勉強をサポートする平日のセッションに加えて、週末は「子ども版 在宅ワーク」のお仕事体験を行っています。

代表の想い

Kaienは3つのことが重ならなければ、私にはとても考えもつかないことでした。

1つ目は、息子が、発達障害と診断されたこと。
2つ目は、起業精神が旺盛なアメリカのビジネススクールで学べたこと。
3つ目は、スペシャリスタナというデンマークの企業を「発見」できたこと。

「発達障害との出会い」

3歳だった息子が発達障害とわかったのは、2007年8月。私がMBA留学の為に渡米するたった2日前のことでした。そのときは本当にショックでした。涙が勝手に出てきてとまりませんでした。なんでもっと早く気づいてあげられなかったのかと自分と妻を本当に責めました。

診断当初、まず思ったことは、子供の分まで稼がないといけないなぁということです。何億円かわかりませんが、息子がまったく就職できなかったとしても不自由のないよう、とにかくお金を稼ぐことに集中しようと思っていました。

しかし数週間、数ヶ月経ち、心が落ち着いてくると、なにか違うと思い始めました。お金が用意できて、彼の周りに冷たい世間との「塀」を張り巡らせることが出来たとしても、本当に彼は満足できる一生が送れるのかなぁと考えるようになりました。

社会に貢献する人間になってほしいし、なれるはず。それが息子の生きがいにつながるであろうということです。特に発達障害のことを知れば知るうちに、類まれな能力を上手く活用する手段があるはず、と感じるようになってきました。

「MBA学生との出会い」

私の前職はNHKのアナウンサー。当然ビジネス経験はゼロ。英語も非常に不得手で、よくビジネススクールに受かったなぁと言うような存在です。

ただ周りには30歳前後のバランスの取れたアツイ人材がたくさんいました。優秀な同世代の人たちと学びあい、その後も交流を続けていることは本当に刺激になっています。

アメリカでは、特に不況下では、新しいビジネスをおこして雇用を増やす、という考えが浸透しています。MBAの学生の中でも起業することは、メジャーな夢の一つです。こういったカルチャーの中にどっぷりつかりながら生活していたことで、「発達障害の人を活用したビジネスモデル」という、これまでの私では挑戦しようとすら思わなかったことを、本気で考え始めるようになったのだと思います。

「なにかヒントが無いかなぁ」といろいろな文献、ネットの資料を探すうちにたどり着いたのが、スペシャリスタナでした。

「スペシャリスタナの発見」

2008年5月末。ハーバード大学の資料を探していると、スペシャリスタナという発達障害の人を雇用した企業についての文章を発見しました。手短にこの会社を説明しますと、、、

デンマークの営利企業
ソフトウェアのバグを探すソフトウェア検証の会社
顧客はマイクロソフトやオラクルなど世界の名だたるIT企業
2004年に創業
従業員の75%がアスペルガーなどの発達障害の人たち
創業者はThorkil Sonne (息子さんが発達障害)
一年目から黒字経営
こんな企業が世の中に存在するのかと本当に信じられませんでした。とにかく感動して、深夜にも関わらず何度も文章を読み直したのを覚えています。世界のどこかには同じミッションを持った人がいるんだなぁとうれしくなりました。

私はまったくソフトウェアの知識は無いのですが、「これが人生で僕が成し遂げたいこと」と感じました。すぐにThorkilにメールを打ち、数ヶ月後にデンマークを訪問する確約を取りました。

このようにまったくもってゼロからのスタートだったにもかかわらず、その後、様々なご協力を多方面の方から頂戴し、2009年9月18日に株式会社Kaienを立ち上げることができました。

Kaienは本当に不思議なプロジェクトです。当初、自分で考えていた以上のペースで物事が進んでいます。いい意味で色々と思いがけないことが起こっているのは、同じ思いを共有してくださっている皆様がいて、私を含めKaienのリーダーシップチームを後押しして頂いているからだと感じています。今後も私でできることは精一杯行っていきたいと考えております。皆様のご理解、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

完全オンライン化を推進した理由

サービスのオンライン化に取り組み始めたのは、2020年3月上旬です。3月に入ると、当社の(職業訓練などを行う)事業所に通うのが怖いという利用者の方が現れはじめました。ちょうどそのころ、通常は重度の身体障害があって通所ができない方への在宅支援のみに適用される制度を拡張して、一般の障害者にも適用する自治体がいくつか出てきました。行政もこうやって積極的に動いているのだから、ポストコロナ・アフターコロナの時代にこれまでと同じKaienに戻るのではなく、これを契機に新しいKaienになっていこうと、その時から意識的に伝えていました。

従業員の雇用を守り、サービスを継続することはもちろんですが、今もずっと考えているのは「コロナ共存時代に、発達障害のある人たちがどうしたら今よりもっと活躍できるだろう?」ということです。世の中の経済学者や歴史学者、Youtuberやメディアが発信していることも参考にしながら、発達障害のある人の活躍の場をどう増やすか?その個性や強みは新しい資本主義のしくみの中でどう発揮されるのか?そのために自分たちのサービスはどう進化すべきか?そのようなことを社内でも議論しています。

アクションリーダー プロフィール

鈴木慶太

長男の診断を機に発達障害に特化した就労支援企業Kaienを2009年に起業。これまで1,000人以上の発達障害の方の就労支援に現場で携わる。日本精神神経学会・日本LD学会等へ登壇や『月刊精神科』、『臨床心理学』、『労働の科学』等の専門誌への寄稿多数。文科省の第1・2回障害のある学生の修学支援に関する検討会委員。著書に『親子で理解する発達障害 進学・就労準備のススメ』(河出書房新社)、『発達障害の子のためのハローワーク』(合同出版)、『知ってラクになる! 発達障害の悩みにこたえる本』(大和書房)。元NHKアナウンサー、東京大学経済学部 2000年卒・ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院 2009年修了(MBA) 。

団体/企業詳細

団体名
  • 株式会社Kaien

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