社会課題解決中MAPに戻る

島根県雲南市が大企業とともに仕掛ける、社会デザインの実証実験。

雲南ソーシャルチャレンジバレー構想

実行中

更新日:2020.01.19

「小規模多機能自治」で全国に知られる島根県雲南市。地域を学びの場とした「雲南コミュニティキャンパス(UCC.)」を中心とした子どもチャレンジ、課題解決型の事業を支援する「幸雲南塾」を軸とした若者チャレンジ、そして、地域自主組織による地域課題解決型の住民自治を目指す大人チャレンジの3つのチャレンジを推進しています。

そこへ新たに企業のチャレンジが加わり、「雲南ソーシャルチャレンジバレー構想」として、チャレンジの連鎖で持続可能なまちづくりを目指しています。このプロジェクトに、大手総合建設会社である竹中工務店はじめ、ヤマハ発動機等複数の企業が参加を表明。2019年春から本格的な活動を予定しています。

キーワード

アクション詳細

目指す社会のあり方、ビジョン

子ども×若者×大人
チャレンジの連鎖による、持続可能なまちづくり

雲南市の現在の人口は3万8千人あまり。過疎高齢化が急ピッチで進み、2015年に37%まで上昇した高齢化率は全国平均の25年先を行きます。こうした状況を雲南市は「課題先進地」の一歩先をゆく「課題解決先進地」と位置付け、変革につなげようとしています。そのための新たな社会デザインの実証実験が、雲南ソーシャルチャレンジバレー構想です。

これは子ども、若者、大人それぞれのステージで、チャレンジの連鎖を生むための一連の施策です。そして今、さらなるインパクトを求めてその上に「企業チャレンジ」を掛け合わせ、全プレーヤーによるソーシャルチャレンジの生態系を作り出そうとしています。「企業チャレンジ」とは、自社の製品・サービスを通じて新しい社会デザインを目指す企業やNPOへ雲南市を実証フィールドとして提供し、地域自主組織などと結びつけながらプロジェクト化していく試みです。

様々なステークホルダーが複合的に雲南市に関わり、
まちの課題解決につなげていく

参画企業である竹中工務店の岡晴信氏は、この構想に挑戦する理由について次のように語っています。

「私たちは、サステナブルなまちを実現するために様々な事業領域に踏み出していくというグループ成長戦略をたてました。その背景には日本の人口減少があります。住む人が減るのに、建物だけではビジネスが成り立ちません。この環境下で、今の事業を拡大していくには、これまでとは異なった“まちづくり”というコンセプトが必要でした。

竹中工務店で何ができるかと考えた結果、その答えが“健築®”という切り口でした。人間は生涯のうち、9割を建物の中で過ごしていると言われます。つまり、間接的に建築が健康に大きく影響を及ぼしていると考えます。もちろん、全国平均よりも高齢化社会が進んだ雲南市にとっても健康はまちづくりと切り離せない問題です。

このプロジェクトで関わるまで雲南市には行ったことがありませんでしたが、思い描いていた地方像とはずいぶんギャップがありました。疲弊感がないし、高齢者の方もみんな元気。70歳を超えた方がパワーポイントでプレゼンテーションをするのには驚きました。きっと、こういう知られざる魅力的な地域というのはたくさんあるのでしょう。これからの活動で、地域の魅力を一緒に磨いていきたいと思っています。

今回私たちは「健築®」をテーマにした活動に取り組んでいきますが、それ以外にも様々な挑戦を行える余白を感じています。たとえば自動運転のクルマを走らせようとすると、都市部ではほとんどスペースがありませんが、地方なら何十キロも走らせることができます。そこで雇用を生み出しつつ、後の成果を都心にフィードバックする。そういった動きは、エネルギーや木材資源、農作物、観光など、今後様々な分野で生まれてくるでしょう。

近い将来、都市と地方は関係し合い、ぐるぐるとお金とモノが循環していくはずです。そこに向けた仕組みづくりも私たちの役割だと考えています。ただ、これは弊社1社だけでつくれるとは思っていません。行政や地元ベンチャーはもちろん、東京の企業などとも連携してネットワークを広げていく必要があります。そして誰でも出入りできるようなオープンなフィールドをつくることで、様々なステークホルダーが複合的に雲南市に関わり、最終的にまちの社会課題の解決につながった成功事例にしていけたらいいと考えています。」

アクションリーダー プロフィール

竹中工務店/島根県雲南市

竹中工務店
1899年創立した大手総合建設会社。2014年に発表した「2025年の成長戦略」の中で“サステナブルな社会の実現”を目指すことを宣言。2017年には「まちづくり総合エンジニアリング企業」を表明し、まちの基盤、経済・文化、生活、未来をデザインしていく活動を続けている。本プロジェクトは、竹中工務店のまちづくり事業推進の核となる「まちづくり戦略室」が担当している。

島根県雲南市
人口4万人弱。高齢化率36.5%と、高齢化社会が進んでいる中で「子ども×若者×大人 チャレンジの連鎖による持続可能なまちづくり」を提唱。「幸雲南塾」を通して、コミュニティナースが全国に展開する他、すでに新規雇用や3億円を超える経済波及効果を実現。第4回プラチナ大賞“総務大臣賞”受賞をはじめ、様々な分野から注目が集まっている。今後は企業との連携による事業創出、実証実験を通して社会課題の解決にのぞむ。

応援メッセージ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。