最期まで、自分らしく暮らせるように。地域でのエンドオブライフ・ケアを確立する。
一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会
実行中
更新日:2019.03.04

国民の半数以上が自宅で最期を迎えたいと願いながら、8割の人が病院で亡くなるという現実があります。私たちは、超高齢少子化多死時代において、住み慣れた地域で「最後まで」自分らしく暮らせる社会をめざしています。
特に「迷惑をかけるなら早く死にたい」と苦しむ人と誠実に関わり、生きていてよかったと思えるように援助できる人材の育成をはじめ、子どもから高齢者まで、誰もがいつか迎える「その時」への備えに向けて活動しています。
「だれもが生きてきてよかったと思えるように、自分の人生に誇りを持てる最期を迎えられるように。」
一部のエキスパートしか行えないことではなくすべての人が行える関わりを普及するために。また、人生の最終段階はどういったものであるかについて、社会的な認知を向上させるために。エンドオブライフ・ケア協会は積極的に取り組みます。
アクション詳細
目指す社会のあり方、ビジョン
超高齢少子多死時代において、
人生の最終段階を迎えた人とその関わる人たちが
たとえ解決できない苦しみを抱えていたとしても、
最期まで「私」にとっての豊かさ(Well-being)を実感し、
自他に優しくなれる社会
現状とビジョンのギャップ、課題の構造
どんなに医学や科学が発達しても
すべての”苦しみ”はゼロにはならない
日本は超高齢化社会を迎え、少ない生産年齢人口で多くの高齢者を支える時代に直面しています。社会資源が偏在し、地域におけるつながりが希薄化するなか、人知れず苦しむ人はますます増えていくことでしょう。したがって、従来の社会保障制度で解決できることには限界があります。

特に、人生の最終段階を迎えた人やその家族の苦しみを前に、これまで様々な施策が行われてきたものの、抜本的な解決には至っていないのが現状です。この先、病院で最期まで過ごすことは難しくなり、自宅や介護施設での暮らしが求められていきます。実際、それを望む人は増えていますが、環境や資源などの理由から、すべての希望が叶うわけではありません。親の介護と仕事の両立に悩む働く世代や、一人暮らしで地域とのつながりが弱く、孤独や不安を抱える人も増えていくことが予想されます。
一方、その人たちの苦しみは、地域の人からはなかなか見えません。さらにこの問題をいっそう困難にしていることは、たとえ苦しむ人に気づいたとしても、「みんなに迷惑をかけたくない」「自分なんて誰にも必要とされていない」「誰にもわかってもらえない」と悩み苦しむ人を前に、どのように関わってよいのかわからず、足が遠のく人が少なくないということです。
アプローチの方法
自分の苦しみをわかってくれる人がいるとき、
たとえ死を前にしても、人は穏やかになれる
エンドオブライフ・ケア協会は、ホスピス・緩和ケアで培ってきた対人援助の手法に基づき、人材育成に取り組んできました。看取りの現場で学んできたことは、「なんで自分だけ」「私の気持ち、誰にもわからない」と絶望や孤独を感じていた人が、たった一人でも、自分の苦しみをわかってくれる人の存在により世の中が違って見える可能性があること、そしてその苦しみから自分の支えに気づいたとき、たとえ苦しみは残り続けたとしても、穏やかさを取り戻す可能性があるということです。そのために「話を聴く」ということを大切にします。
穏やかな理由は人によって異なります。私たちが大切にしているのは、数値だけではなく、顔の表情です。苦しみを抱えた本人とその家族にとって、どんなことがあると穏やかになれるのか、その条件(=支え)を本人との対話を通して探ります。そして、見出した支えを強めるために、誰が何をするとよいのか、難しい専門用語ではなく、また、抽象的な言葉ではなく、関わるすべての人にとってわかりやすく具体的な言葉にします(“援助を言葉にする”)。
たとえ解決が困難な苦しみを抱えた人を前にしても、医療や介護の専門職だけではなく、家族や友人、近隣の住人も含めて、苦しむ人の力になりたいと願うすべての人にできることがあります。職種や立場を越えて、誰もが自分にできることがあることを知り、実践していくなかで、苦しむ人と関わることへの苦手意識を持っていた人も関わる自信を持てるように変わっていきます。
子どもから高齢者まで、
苦しみがありながら穏やかに生きていく

解決が困難な苦しみを抱えているのは、人生の最終段階を迎えた人だけではありません。子どもから高齢者まで、それと気づかずとも誰もが“苦しみ”を抱えています。看取りの現場における対人援助からの学びは、そのまま「折れない心を育てるいのちの授業」として、学校、地域、企業などで紹介してきました。大人も、子どもも、「折れない心を育てるいのちの授業」で学んだ人は、これから出会う困難や苦しみと向き合うことができるでしょう。
また、自分の苦しみと向き合うだけではなく、周囲で苦しむ人に気づき、関わることができるようになり、さらには苦しみを通して学んだことを、周囲へ自発的に伝えていくことで地域に優しさが連鎖していくことを期待します。
お互いが支えになる
コミュニティを通して学びあう

苦しんでいる人は、自分の苦しみをわかってくれる(と自分が感じる)相手がいるだけで、心が落ち着き、世の中が違って見えてきます。それは、苦しみを抱えた本人・家族に限らず、その苦しみと関わろうとする人にも同じことが言えます。
対人援助とは、特定の立場や役割の人が一方的に提供するものではありません。あるときは誰かを気にかけ、あるときは誰かから気にかけてもらう。相互の関わりを通して学びあう。私たちがめざしているのは、一方通行ではなく、お互いが支えになるコミュニティです。
苦しみに気づき、自分に何ができるか考え行動し、誰かの力になることは、自己肯定感を育みます。しかし一方で、役に立てない、何もできない、そんな自分をふがいなく思うこともあるかもしれません。たとえ解決が困難な苦しみに遭遇したとしても、それまで気づかなかった大切な自分の支えに気づくとき、自分自身の存在をこれでよいと認め、自分を大切に思い、自分の苦しみとも向き合う可能性がひらけます。
持続可能な共生社会を創る

私たちは、このような関わりができる人を社会に増やしていく活動を行っています。一部の専門家だけではなく、子どもから高齢者まで、すべての人が、生きるすべとして学び続ける。また、その連鎖が地域に広がり、しなやかなまちをつくる。このような社会を、志を同じくする活動団体と共に実現することを願っています。
アクションリーダー プロフィール
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小澤 竹俊
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一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会 代表理事
めぐみ在宅クリニック 院長
1963年東京生まれ。世の中で一番、苦しんでいる人のために働きたい と願い、医師を志し、1987年東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。 1991年山形大学大学院医学研究科医学専攻博士課程修了。救命救急センター、農村医療に従事した後、1994年より横浜甦生病院 内科・ホスピス勤務、1996年にはホスピス病棟長となる。2006年めぐみ在宅クリニックを開院、院長として現在に至る。「自分がホスピスで学んだことを伝えたい」との思いから、2000年より学校を中心に「いのちの授業」を展開。2013年より、人生の最終段階に対応できる人材育成プロジェクトを開始し、多死時代にむけた人材育成に取り組んでいる。
団体/企業詳細
- 団体名
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- 一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会
- 活動地域
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- 東京都含む全国
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