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最期まで住み慣れた町で暮らせる仕組みを作る「訪問看護99%プロジェクト」〜大都市でなくても十分な医療を受ける権利を〜

総合在宅医療クリニック

実行中

更新日:2018.08.20

訪問看護とは、病院に通うことが難しい方のお宅に看護師が訪問してケアを行い、家での生活を支えること。人口減少地域にも訪問看護を行き渡らせることで、より多くの人が最期まで住み慣れた町で暮らせることを目指す「東海三県訪問看護99%プロジェクト」を始動しました。

2025年には約800万人と言われる団塊の世代が75歳以上となり、医療・介護のニーズが今以上に大きくなることは間違いありません。しかし、人口減少地域での医師不足をはじめとする様々な課題は依然として解決しておらず、このままでは多くの人が、住み慣れた場所で暮らし続けることができなくなります。

この厳しい状況を打開する鍵となるのは訪問看護師だと考えています。訪問看護ステーションが中々増えない多産多死状態を改善し、まずは東海3県で、どこに住んでも訪問看護のサービスが受けられて、誰もが暮らしたい場所で生活できる地域を作ることを目指しています。

キーワード

アクション詳細

目指す社会のあり方、ビジョン

「最期まで住み慣れた場所で暮らせる『まち』とその仕組みを作る『ひと』を、地域はどのように育て、支えていくか?」という問いの下に、訪問看護師や医療関係者だけではなく、行政や関連団体など業種を超えた人々とともに集い、コレクティブインパクトを創出し、答えを出していきたいと思っています。

平成29年度に実施した島根・雲南市での合宿などを経て、平成30年2月10日に東海地区の関係者による初会合を持ちました。今後、行政・関連団体などとともに、定期的なミーティングを開催していきます。

現状とビジョンのギャップ、課題の構造

訪問看護ステーションの“多産多死”状態

現在、地方では病院不足によって訪問看護の需要が高まっている一方、医師や関係機関との連携、さまざまな在宅ケアサービスの使い方の提案、24時間365日の対応など多岐にわたる業務に対応できる訪問看護師・訪問看護ステーションはまだまだ少なく、供給は不足していると言われています。

訪問看護ステーションを作り、維持していくのは難しいことです。
平成28年の数字を見てみると、訪問看護ステーションは9070カ所稼働しており、その15%にあたる1384カ所が、1年以内に新規開設されたステーションです。一方、同年に425カ所が廃止、236カ所が休止となり、合計661カ所が閉鎖しています。1年で全体の15%が新規に立ち上がり、7%が閉鎖するという多産多死の状態なのです。

ただでさえ不足している医師が人口の多い地域に集まるため、人口減少地域では医師不足がさらに加速することが予想されており、人口減少地域における訪問看護師の役割はいっそう重要さを増していきます。

しかし、人口が少ない地域では、看護師を確保しづらい中で24時間対応できる体制を作らなければいけない、スタッフの数がぎりぎりで、質の高い看護を提供するための研修に参加する余裕がない、地域の医療関係者との連携が不足している、など解決すべき課題は山積みで多岐にわたります。

アプローチの方法

コレクティブインパクトの力で、変革のうねりをつくる

「人口が少ない地域へいかに医療を提供するか」という問題は古くて新しい問題です。
これまでは医療を提供するためには「病院を作る」ということが必須だったので、人口の少ない地域に医療・看護を届けることは中々難しいことでしたが、訪問診療・訪問看護の発達によって「病院を作らず、訪問することで医療を提供する」ことが可能になりました。
それによって、人口が少ない地域でも、例えば半径20kmほどの範囲を訪問診療・訪問看護を行うチームがまとめてカバーし、必要なサービスを提供できるようになりました。
また、昨今のICTの進展によって遠隔地からの診療援助が可能になることも、新しい可能性をもたらしうる変革です。

しかしながら、「訪問診療・訪問看護が人口の少ない自治体を支えていく」という新しいかたちを具体的にイメージできているわけではありませんし、それに取り組もうとしている人も県単位では少ないと言わざるを得ません。そこで経済的・文化的に名古屋からの影響の強い岐阜、愛知、三重からなる東海三県によるコレクティブインパクトが生まれるように準備しています。資源が乏しい東海三県がばらばらに動くのでは、大きな成果が期待できないと考えています。
そこで、関係者が一同に集まり、訪問看護の供給が自然に増えていくような生態系をいかに作りあげていくかを考えています。
そうすることで行政単位を超えた隣県同士の協力関係も創出することができると思っています。

勉強会の開催はもちろん、東海三県で訪問看護ステーションを作りたい看護師・病院・自治体とのマッチング、東海三県以外で働いている看護師のU・I・Jターンの実施など、さまざまな試みを続けながら、コレクティブインパクトの創出を目指します。

今後のマイルストーン

東海三県での勉強会開催

関係者が集う勉強会をスタートしています。既に岐阜県と愛知県で開催し、次回は三重県で開催予定です。参加者には現場で訪問看護ステーションを運営している看護師、僻地の課題に取り組む行政職員、医師会の担当者、在宅医療を行っている医師などが参加しています。

現在は各地の訪問看護ステーションの設置状況や課題なども共有しながら、コレクティブにプロジェクトを進めていく上で、何が共通の成果指標になるか、という議論を重ねています。

アクションリーダー プロフィール

市橋亮一

総合在宅医療クリニック 代表/
1973年生まれ。名古屋大学医学部卒。土岐市立総合病院で研修後、名古屋大学医学部付属病院(ICU)、名古屋第二赤十字病院勤務。2009年、総合在宅医療クリニックを開設。専門分野は、総合内科、血液内科、病理学。職種は、在宅医、内科医、日本内科学会認定医、日本病理学会専門医。一人ひとりの患者さんの想いや希望を大切にして、『希望する在宅生活を、安心して送れるように支援する』を理念とし、地域の医療をしっかりと支援する在宅医を目指しています。

団体/企業詳細

活動地域
  • 岐阜県・愛知県・三重県

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