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三陸の海を耕す ~生き物と人にやさしい里海づくり~

NPO法人 三陸ボランティアダイバーズ

実行中

更新日:2018.12.12

岩手県大船渡市綾里地区をはじめ三陸地方は豊富な魚種や海藻などの漁業資源に恵まれ、ここ三陸にしかない海中の風景があります。この海の資源や風景は、古くからこの地で漁業に関わる人々が手を加えてきた「里海」だからこそ生まれたものです。

しかし、東日本大震災により海中に流入した大量のがれきや養殖棚の破壊などで漁がままならない状況になりました。そこで、震災以前から大船渡市綾里地区周辺でのダイビングを行っていたインストラクターの佐藤さんが中心となり「NPO法人三陸ボランティアダイバーズ」を結成し、他県の仲間たちと海中のがれき除去活動を開始。当初は知らない人たちが海に潜ることに不安を感じていた地元の漁師や住民たちも活動に取り組む姿を見るうちに、話しかけるようになり、交流が生まれ、現在では地元の漁師たちもダイビングを覚え、共に活動に取り組み、がれき除去後の新たな課題となっている「磯焼け」に挑戦しています。

キーワード

アクション詳細

目指す社会のあり方、ビジョン

大船渡市を中心に、三陸地方のダイバー人口の拡大 活動をはじめた当初は他県から来ていたダイビング仲間が主な活動者だったが、現在では地元大船渡市の漁師たちもダイビングを行い自分たちの海を保全する活動に取り組んでいます。今後も海の中での活動を通じて人々がつながり、漁業や海産物への理解促進、レジャーだけではないダイビング活動が普及されることで海に関心を持つ人を増やし、海から自分の生活を考えられる人そして社会を目指します。

現状とビジョンのギャップ、課題の構造

海中の出来事なので、多くの人は分かりにくく関心が薄い 現在、磯焼けが発生している地域は三陸地方でも徐々に増えていますが、その状況を知っているのは地元の漁業者など一部の存在で、内陸部に住む消費者では知らない人も多いように思います。理由として、海の中で起きている問題なので表面上は見えにくいこと、今のところ海産物の供給が十分で問題として関心が薄いことなどが考えられます。 ちなみに、「磯焼け」とは海水温の上昇、ウニやツブなどの大量繁殖による海藻の食害により、藻場の減少、海中環境の変化により生息する生態系の減少という現象です。

アプローチの方法

ビジョンと現状とのギャップを解決するべく以下のような取り組みをしています。 1.現地理解促進プログラム 三陸沿岸部の津波被害地を風化させないためにも、全国からのボランティア参加者に対して現状を知ってもらうために、また三陸の良さを理解してもらうために、漁村交流、漁業体験、チャリティダイブ、サーモンスイム等のプログラムを準備しています。 2.エコツーリズム ボランティア活動は継続しながら、現地の復興状況に合わせてボランツーリズムからエコツーリズムへの色を強め、復興状況の経過を観察し、三陸がもつ豊かな自然環境を学ぶ機会を提供します。 3.磯焼け対策 震災前から問題とされていた海の磯焼けは、津波により自然環境が変化した今、対策を講じるチャンスです。漁協からのニーズも高いため専門家との準備を行い、ダイバーによる自然環境再生を行います。現在、磯焼けへの対処として、大量に繁殖したウニやツブの駆除を地元の漁師や他県の仲間たちと取り組み徐々に効果が出ており、綾里地区以外でも磯焼けを課題としている沿岸地域へも活動の幅を広げています。 4.津波被害の伝承・海枯れ回復活動の発信 震災後ほぼ毎日海に潜っており、震災直後からこれまでの状況を全国さらには全世界に伝えることが使命でもあり、Web以外にも各メディアや講演会等で三陸を風化させないためにも現状を伝え続けます。 さらに、現在進行している磯焼けからの回復のための取り組み状況も発信しています。

今後のマイルストーン

●2019年にこれまでに撮影した海中映像の上映会となる水中映像祭を開催する。 ●2030年までに三陸地方の各地域に磯焼けなどに対処できる地元のダイビング団体を組織する。

アクションリーダー プロフィール

佐藤寛志

NPO法人三陸ボランティアダイバーズ 理事長/
岩手県花巻市出身。2011年から同法人を設立し東日本大震災による海中環境の整備に努めている。同法人のほか、ダイビングインストラクターでダイビングショップ「みちのくダイビングRias」と株式会社あやかぜの代表として三陸の海の現状について広めている。

団体/企業詳細

団体名
  • NPO法人 三陸ボランティアダイバーズ
活動地域
  • 岩手県大船渡市

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