はたらく人の食栄養環境にデザインを
株式会社社員食堂

日本の都市における働く人の「食栄養」の環境は「砂漠」といっても過言ではありません。栄養学的に一日に成人が必要な食品構成のうち、野菜350gをはじめ、いも100g、豆80g、くだもの200gを確保することは困難を極めます。一方で、動物性蛋白質、脂肪、炭水化物のおいしいものは選択肢も多く安く提供されて市場に溢れています。
「食事は自己責任」「健康は自己責任」という暗黙の了解がありますが、一方でその責任を果たせるだけの「知識」はなく、知識があってもそれを実現するための環境は「皆無」に等しいです。ということは、食栄養の環境について「誰も責任をもてないしもっていない」という身体が生きるための食の環境は空洞化しています。どの食事の提供場所もそこは「三食のうちの一食」という位置づけにあり、それぞれは「その選択肢の一つ」としての食事を提供するというスタンスをとっており利用者側の選択に委ねているからです。
アクション詳細
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株式会社社員食堂では、成人向けの食育プログラム「おとな食堂」を提供しています。
おとな食堂は「はたらく人の日常の食」をテーマにした「はなす・つくる・たべる(片付ける)」のワークショップです。Creative Hub 131の中にあるシェアキッチン「社員食堂Lab.」のプログラムとして2016年10月に誕生し、以降毎月開催されています。
◆おとな食堂とは?
テーマは「はたらく人の日常の食」。よそ行きの食事、特別な食事は写真に撮られ話されますが、一方で「日常の食」はほとんど話されることがありません。
「忙しいからつい◯◯だけで済ませてしまった、、」
「◯◯が足りない気がする、」
「◯◯が多いような気がする、」
「◯◯でいいの?」
いろんな不安や不満があったとしても話す機会がないので「言葉」にされず、「じゃぁどうしたらいいのか?」を考える機会が持ちにくいと考えています。「おとな食堂」ではこの日頃話されることのない「日常の食」のことを話し、そして身体に必要な栄養バランスを確保するためのおやさい料理をつくり、それぞれ味わうという体験を通してそれぞれの「日常の食」を考えるきっかけを作ります。
◆参加費は食べたいおやさい
「おとな食堂」の参加費は「食べたいおやさい」です。まず「なにをもっていこうかな〜?」と考えるところから活動が始まります。自分がなにを食べたいか?体調はどうか?もしくはお気に入りの農家さんのやさいだったり、実家から送られてきたやさいだったり、日常の「たべる」を考えるきっかけとしています。おとな食堂当日は「自己おやさい紹介」をしてそれぞれのおやさいのストーリーをシェアします。
◆「はたらく人の日常の食」を「はなす」のパート
は、それぞれポストイットに「日常の食」と「体調」を軸に思い思いに、話したいこと、感じたこと、考えていること、聞きたいことを書き出していきます。終わったらみんなでボードに張り出して、カテゴリ分けをしてトピックステーマをその場で決めていきます。記名はあってもなくても自由。これは「アンカンファレンス」という形式です。人数が多くてトピックスが多いときは、グループを分けテーマと時間割を決めてすすめます。現在はワントラックでみんなで話しながらすすめています。おやさい350活動家で栄養士のたかはしかよこがモデレーターを勤めさせていただきます。
この「はなす」=「言語化する」が大切なところ。自分の声で話し自分の耳で聴きみんなとシェアするところから「じゃぁ、次はどうしよう?」が始まります
◆おやさい1品でおやさい料理をつくる「つくる」のパート
持ってきてもらったおやさいと全体のバランスを見て、そこにいくつかの食材をプラスして「料理」をします。基本的におやさい1品で1つの料理を作ります。料理の仕方もほとんどシンプル。決めては、おやさいにあった味付けと調理法を決めることだけ!
料理は、それぞれやりたいことをやればよいのがルールです。見学だけでもアシストでも冷やかしでもOKです。
https://cookpad.com/kitchen/2346439
◆できたおやさい料理を味わう「食べる」のパート
できあがった「おやさい料理」はテーブルに並べられ、いつもたくさんあるので
実質食べ放題!です。やさいでもサラダバーはありますが用意されているのは
火が通ったやさい、調理されたやさいばかりところがありそうでない空間です。
そんな中に身をおいて、食べてみて「身体がどう感じているか」をふくめて
味わっていただくのが目的です。
たくさんのおやさい料理に、スープと豆の料理、くだものとすこしの炭水化物(現在は玄米粥)を全体の構成としてご用意しています。
◆おわったらみんなで「かたづける」のパート
ついつい話がもりあがって食事の時間が長引きますが、それぞれの都合に合わせて片付けに参加いただいて帰ってOKです。食べたおやさいおいしかった!とか、次はなにを食べようかそれぞれすきにはなし動いていきます。
◆おうちに帰ってからそれぞれの「おとな食堂」が始まります。
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アクションリーダー プロフィール
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たかはし かよこ
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栄養士
女子栄養短期大学食物栄養学科卒
社員食堂Lab.ディレクター
元楽天社員食堂ディレクター
著作:「心と身体が生きるための栄養学」(性格教育センター)
「胎教食」(主婦と生活社)
1983年〜通信教育の会社で栄養士とカウンセラーとして従事
会員向けの栄養学のカリキュラムの制作
「心と身体が生きるための栄養学」を執筆
1996年 「たまごクラブ」妊婦さん向けの栄養カリキュラム監修
1997年 「胎教食」(主婦と生活社)執筆
1999年 IT業界に転職 PSINetカスタマーケアに就業
2001年 楽天株式会社にサポートエンジニアとして就業
開発部にて事業企画、サービス企画からリリースに従事
2007年 楽天株式会社カフェテリア委員会を兼務
社員食堂のディレクターとして
本社および支社の社員食堂の構築、運営、改善に従事
7000人/日利用規模の食堂から100人規模の社員食堂のディレクション
数十人規模の食事のアレンジなどを幅広く行う
2011年 楽天株式会社CSR部署にてコミュニケーション設計
2014年 楽天株式会社退社
2016年 Creative Hub131 シェアキッチン「社員食堂Lab.」のディレクターに就任
はたらく人の日常の食をテーマにした「おとな食堂」ワークショップを開始
2017年 株式会社社員食堂 設立 代表取締役に就任。食堂を中心とした「日常の食環境」のデザイン・設計、コンサルティング業務を開始。
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