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【開催レポート】学校教員向けセミナー「社会課題の解決を自分ごと化するには〜探究教材の活用と可能性」

株式会社大修館書店/NPO法人ETIC.

実行中

更新日:2022.11.30

2022年11月6日、株式会社大修館書店とNPO法人ETIC.の共催で、高校教員向けオンラインセミナーを開催しました。

タイトルは「社会課題の解決を自分ごと化するには―探究教材"社会課題解決中マップ"と"アクチュアル"~その活用の可能性」。社会課題解決中マップを監修する佐藤真久教授(東京都市大学)と、アクチュアル編集委員代表の米田謙三教諭(関西学院千里国際中等部・高等部)の二名にご登壇いただき、探究教材の活用による課題解決と価値共創の可能性についてお話しいただきました。

この記事では、当日ご参加できなかった学校教員の方々に向けて、セミナーの内容や探究教材の活用方法について要点をまとめてお伝えいたします。ぜひ参考にしていただき、授業にお役立ていただければ幸いです。

キーワード

アクション詳細

目指す社会のあり方、ビジョン

複雑性に向き合い,学習と協働の連関を強めていく

貧困と格差、気候変動、少子高齢化、国際秩序の変化。ありとあらゆる社会課題が絡み合い複雑化が進む今、既存の枠組みに基づく対応では、もはや解決することができません。不確実性の高いこれからの社会において、私たちは常に状況的な判断を行い最適解を更新していくことが求められます。

このような試行錯誤の時代においては、チャレンジの経験の積み重ねそのものが極めて重要な意味を持ちます。これからの教育現場に求められるのは、あらかじめ正解が決まった教師主導の学びではなく、学習者自らが自分で学んでいこうという「自己主導型の学びと責任」ではないでしょうか。

その中で重要なことは、学習者自身の「内発的な動機付け」です。つまり心がワクワクドキドキするような“遊び”こそが一人ひとりの学びの源泉となります。実体験を伴った興味関心があれば、それは次なる行動を起こす情熱につながるでしょう。いかにして社会課題を自分ごと化させ、社会参画につなげていくのかということが、これからの教育においてますます求められる重要な視点です。

探究教材「社会課題解決中マップ」

本サイト「社会課題解決中マップ」は、どなたでも無料で活用できる探究教材です。日本の社会課題を、227の事例を分析をして抽出した31の独自カテゴリでわかりやすく整理しています。なかなかわかりにくいSDGsの17の目標を、日本の文脈として捉え直せることが最大の特徴です。

そして現在、570以上のチャレンジの事例を掲載中。生徒に事例を見せながら「自分たちは何ができるか、何をやってみたいか」を考えさせる、動機付け型の教材になり得ると考えています。

▼授業での活用方法 〜課題と課題のつながりを理解し、自分に何ができるか考える

1)  31の社会課題の中から、自分の関心がある課題を生徒自身が選び発表する
2) それらの課題が相互につながり、連動していることを理解する
3) 570以上のチャレンジの事例を見て、自分には何ができるかプランを考える
(アイディア段階でも自らのプランを掲載して発信することができます)

たとえば「自然災害大国日本」「老朽化が進むインフラ」「孤独化するコミュニティ」という3つの課題。ある日突然に自然災害が起きた時、老朽化しているインフラが一気に破壊され、コミュニティが分断されていく中で、何もできなくなってしまう日本があることに気づくと思います。

このように目の前の課題だけでなく、背景にある日本特有の課題も連動させて捉えていくことで、問題の理解を深め、グローバルな探究ができるようになるのです。その上で570以上の事例を研究し、自分自身に何ができるか考えてアクションプランへと発展させていくことが、この社会課題解決中マップの有効な活用方法です。

*書籍「探究モードへの挑戦」もぜひ参考にしてください。

 

探究教材「アクチュアル」

高等学校向けのオンライン型探究教材「アクチュアル」。探究活動の進め方に不安を抱える高校をサポートするサービスとして、大修館書店からリリースされました。

「総合的な探究の時間」の必修化や、生徒1人1台環境の整備。こうした急速な学びや環境の変化をサポートするべく、探究に手間なく取り組め、LMS(学習管理システム)で学びを一元管理できるオンライン型の教材を提供しています。

▼授業での活用方法 〜探究スキルを養える教材と授業展開案を多数ご用意

1) ミニ探究
2) ミドル探究
3) 調べ学習編
4) 課題研究編

以上の4段階でステップアップしていく構成で、探究の高度化・自立化を可能にします。

スタートとなるミニ探究・ミドル探究では、具体的な教材のテーマに取り組んでいくことで探究のスキルや手法を習得。自己主導型で考えや気づきをまとめていくことで主体性や協働性が身に付きます

また、どの教材にも具体的な授業展開案をご用意。教材は毎年更新していますので”ネタ探し”に苦しまず、新鮮かつ楽しめる教材を毎年提供することができます。

アクチュアルを活用することで、探究活動を進めるのに必要な資質・能力や意欲・関心を育みつつ、社会課題の解決へと生徒を導くことが可能です。教員用サポート資料も充実していますのでぜひ参考にしていただければ幸いです。

*アクチュアルの詳細はWebサイトよりご確認ください。

 

探究教材「STEAMライブラリー」

STEAMライブラリーで社会課題を自分ごとに

STEAMライブラリーは、子どもたちのワクワクを起点に「知る」と「創る」の循環的な学びを実現するための教材コンテンツや指導案などが1カ所に集約されたプラットフォームです。「ビジョンだけでは授業はつくれない。現場に役立つ道具が必要だ」という思いから生まれました。指導案・ワークシート・動画といった教材がパッケージとして揃っていることから、先生方は大きな負担なく、主体性や対話で深い学びを促す探究学習の授業をつくることができます。

※ STEAMは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Arts(人文社会・芸術・デザイン)、Mathematics(数学)の頭文字を取った言葉です。AIと第四次産業革命の世紀に価値を生み出す力を養うために、学びを「より学際的で、創造的社会的な学び」へとシフトさせていく考え方といえます。

▼探究学習に取り組む上で持つべき視点

1) 教科横断
STEAMやSDGsといった言葉を借りながら、教科を横断して授業を展開していくこと。STEAMライブラリーは、多様で横断的なテーマでの学びが多数あり、教科横断型に取り組もうとしている先生方には最高のライブラリーになっています。

2) 課外活動
教科を学ぶだけでなく、フィールドスタディで現場に行き学びを深めること。たとえば関西学院千里国際高等部2年の総合探求科では「国際貢献」「地球環境」「異文化理解」いずれかのテーマでフィールドスタディを実施し、論文執筆やプレゼンテーションを行う授業を展開しています。

*STEAMライブラリーの詳細はWebサイトよりご確認ください。

 

参加者の声(アンケート一部抜粋)

「探究について、俯瞰的な視点を得ることができました」(中学校・高校 教員)

「ちょっとモヤモヤしているところ、探究の目的の方向性についての整理が大変腑に落ちました」(高校教員)

「社会課題解決中マップは時折拝見し、活用しております。アクチュアルはこれから拝見いたします」(高校教員)

「これから30年後を生きる子どもたちのために、教員としてどのようなことを念頭に置き、生徒ともに考え進めていけばよいのか、ご教示をいただきありがとうございました」(高校教員)

アクションリーダー プロフィール

佐藤真久/米田謙三

佐藤真久/東京都市大学大学院環境情報学研究科 教授
英国国立サルフォード大学にてPh.D.取得。地球環境戦略研究機関(IGES)、ユネスコ・アジア文化センター(ACCU)を経て現職。現在、UNESCO ESD-Net 2030 フォーカルポイント、JICA教師海外研修(SDGs)学術アドバイザー、文部科学省・WWLコンソーシアム構築支援事業運営指導委員、東京大学附属学校教育高度化・効果検証センター協力研究員、SEAMEO-JAPAN ESDアワード 国際審査委員会委員、などを務める。ETIC.理事等を歴任。協働ガバナンス、社会的学習、中間支援機能などの地域マネジメント、組織論、学習・教育論の連関に関する研究と実践を進めている。

米田謙三/関西学院千里国際中等部・高等部 教諭
社会科・総合探究科の科目を担当。文部科学省「高等学校学習指導要領解説 情報編」担当,経済産業省「未来の教室」STEAMライブラリーWG委員,総務省青少年の安心・安全なインターネット利用環境整備に関するタスクフォース委員,内閣府他共催「高校生ICT Conference」実行委員長,日本英語検定協会派遣講師などを兼任。大修館書店"アクチュアル"編集委員代表。

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