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ごみを見つめて未来を変える―SDGs時代のごみ問題解決法

京都大学大学院地球環境学堂 准教授 浅利美鈴

実行中

更新日:2022.01.18

日本で排出される家庭ごみの量は2000年度の5,483万トンをピークに減ってはいるものの、今でも年間4,432万トンものごみが発生しています。国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」のゴール14(海の豊かさを守ろう)やゴール12(つくる責任つかう責任)を達成するためにも、ごみの減量は必須の課題です。ごみを減らすためには、行政機関や企業に働きかけをしていかなければなりません。そのためには、ごみの実態を把握しておく必要があります。私たちは、京都市内の400~500世帯の家庭ごみを集めて、素材や用途ごとに分類して詳細に調べることで、ごみを減らすことにつながる有効な情報を得る「家庭ごみ細組成調査」を行っています。この調査結果をもとに、行政機関に政策提言すると同時に、特にメーカーや流通などの企業に対してごみを減らす取り組みをアドバイスしています。

キーワード

アクション詳細

目指す社会のあり方、ビジョン

国連が掲げる「持続可能な開発目標(SDGs)」のゴール14(海の豊かさを守ろう)やゴール12(つくる責任つかう責任)を達成するためにも、ごみの減量は必須の課題です。環境に対する意識を高めるための国内外の活動が必要です。私たちは、ごみ問題を解決する取り組みの1つとして、家庭から出るごみの実態を明らかにする「家庭ごみ細組成調査」に行っています。

現状とビジョンのギャップ、課題の構造

日本で排出される家庭ごみの量は2000年度の5,483万トンをピークに減ってはいるものの、今でも年間4,432万トンものごみが発生しています。資源の無駄遣いだけではなく、近年は、海まで流れついたプラスチックごみがウミガメなど海の生物に大きな影響を与える海洋プラスチックや、プラスチックが波や紫外線により細かく砕けて粒子となるマイクロプラスチックによる生態系への影響も懸念されています。今、プラスチックの使用を減らすなどの対策が必要です。

アプローチの方法

ごみを減らすためには、行政機関や企業に働きかけをしていかなければなりません。そのためには、ごみの実態を把握しておく必要があります。私たちは、京都市内の400500世帯の家庭ごみを集めて、素材や用途ごとに分類して詳細に調べることで、ごみを減らすことにつながる有効な情報が得る「家庭ごみ細組成調査」を行っています。これにより、食品ロスや使い捨て製品など、もったいないごみの存在やその増加などが確認できます。この調査結果をもとに、ものつくりや販売のスタイル、消費者とのコミュニケーションを通じた3R方策を検討し、行政機関に政策提言すると同時に、特にメーカーや流通などの企業に対してごみを減らす取り組みをアドバイスしています。


手つかずのまま捨てられた食品ごみ(2016年の「家庭ごみ細組成調査」より)

これまでの活動実績

「家庭ごみ細組成調査」によるごみの実態把握のほか、『エコ~るど京大』を組織し、環境意識を高めるために、環境に配慮した製品や取り組みを集めて展示する「びっくり!エコ100選」や小学校等でのSDGs教育、着物のリサイクル企画など、さまざまなイベントを開催しています。また、『びっくり!エコ新聞』を毎号14万部発行し、京都市内の小中高生に配布しています。この制作費用は、京都市の制度を利用して市内の小学校等の屋上に市民出資により設置した太陽電池パネルで生み出した電気を販売して得た資金を活用しています。太陽電池パネルは、環境教育の教材としても利用しています。そのほか、環境問題の知識定着を図る『3R・低炭素社会検定』を設立して問題作成する、学生と共に発展途上国を訪れ、現地の実情を肌で感じてもらう取り組みを行うなどしています。


京都の百貨店で開催された第1回「びっくり!エコ100選」(2005


京都市立安朱小学校でのSDGs教育


着物の寄贈者と着物を着たい学生のマッチング着物復活企画「Kistory~タンスからの贈り物~」


家庭ごみの詳細な調査を先駆けた「ハイムーン」氏(京都大学名誉教授、京エコロジーセンター館長の高月紘氏のペンネーム)による、エコ漫画

今後のマイルストーン

今後は、科学技術の発展に期待しつつ、これまで以上に「3R」を率先して行う、つまり、リデュースやリユースを徹底し、リサイクルを進め、プラスチックによる悪影響を減らすにはどうすれば良いのか考えていくことが求められます。環境への影響を意識し、少しの手間を惜しまず、ある程度の高コストも私たち1人1人が受け入れることで、より豊かな未来につなげていくことを目指します。

必要なリソースや提案したいこと

小学生向けに17の目標を理解するための「SDGsノート」を作成しています。ノートには、日々の生活の中で気づいたこと、実践したことを自由に書き込んでもらいます。すると、ほとんどの児童が17のすべての目標に記入していました。さらに、「SDGsノート」で得た気づきをもとにフィールドワークしてもらったところ、大人では気づかないことを見つけることもできました。

このような活動によって、SDGsの視点で地域の未来を考える力を持つ人材が育成でき、あわせて日本の科学技術を駆使することができれば、日本だけでなく、世界のごみ問題の解決に貢献できると思っています。

アクションリーダー プロフィール

浅利美鈴

京都大学大学院地球環境学堂 准教授/
家庭系廃棄物などを対象に、適正な循環・廃棄を含む製品管理システムの構築を目指し、物質フローや消費者行動のモデル化を研究。研究家活動の傍ら、京都大学のエコキャンパス化や「(一社)びっくりエコ発電所」の理事や「3R・低炭素社会検定」の事務局長や「京都超SDGsコンソーシアム」「京都里山SDGsラボ「ことす」」の代表も務める。

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