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生体情報の革新的な利活用を通じた新たな社会的価値の創出

立命館大学情報理工学部 准教授 村尾和哉

アイディア段階

更新日:2021.12.20

スマートウォッチをはじめとしたウェアラブルデバイスに関する技術進歩によって、体温や心拍、歩数、睡眠時間といったさまざまな生体・生活情報を収集することができるようになっています。

しかし、スマートウォッチ式のデバイスは、生体データの計測を血流の挙動・変化で検知することが多く、「血流がない状態」、例えば義手や義足といった義肢を利用している人はデータを取得・活用することができないのが現状です。

また、生体データの取得技術の開発は進んでいますが、その利活用についてはまだ限定的であり、さらに応用の幅を広げていくことが求められます。

生体データをより広く、多様な人から取得できるようなデバイスの開発を進め、「生体情報の革新的な利活用を通じた新たな社会的価値の創出」の実現を目指します。

キーワード

アクション詳細

目指す社会のあり方、ビジョン

義肢等の人工身体を使用している方でも生体情報を取得できるような技術、さらに生体情報を再現できる電動義肢の開発やスペックアップを通して、身体機能のハンディキャップを抱える方でも健常者と同様に自身の健康管理のためにデータを活用することができる世の中を創出します。

電動義肢によって身体機能のハンディキャップを抱える方の生活を便利にすることを目指すと共に、人間味を感じられる汎用的なインターフェースの実現を目指し、呼吸や鼓動を感じるロボットを作成したいと考えています。

 また、人体の五感では意識的に取得できないような情報を検知するデバイスの開発により、今までにない生体情報の応用シーンを見いだし、新たなビジネスの創出につなげます。

アプローチの方法

利用する方の利き手や癖などを考慮し、抱える悩みにパーソナライズしたウェアラブルデバイス製品、あるいはその機能を持った義肢製品を制作します。例えば、片腕が義手の人が「義手の方が使いやすい、便利だ」と思えるような要素を持った製品を目指します。

 製品の機能・性能評価においては、障がいの種類や個人差が大きく影響するため、どういった製品デザインを行うか検討が必要となります。そのため、開発に先立ち、義肢利用者を対象とした課題やニーズのヒアリング調査を実施します。使用者の意見やどのようなビジョンがあると喜ばれるのかを確認していきます。義肢利用者の課題は、健常者にとっては意識的に生活していても気付きづらいものなので、当事者の声を第一優先とすることが重要と考えています。

これまでの活動実績

生体情報の利活用の可能性について、企業・NPO団体・に所属する多様な分野・立場の方々とのディスカッションを実施しました。その中で取りまとめるに至った、下記のようなアイデアの社会実装に向けた検討・提案を目指します。

 婚活支援

参加者が装着した加速度センサー・心拍センサーから取得したデータを解析して、緊張など平常時と異なる状態を検出し、ペアリング成功率を上げる情報提示技術によるペアリング率向上

スポーツ観戦支援

・椅子に搭載したセンサーや観客のスマートフォン内蔵のセンサーおよび試合スタッツから試合の盛り上がりや、観客の属性、観戦集中度を推定する技術

・観客の属性や観戦集中度から、トイレ利用や帰宅タイミングを提案する情報提示を行い、スタジアム内外の混雑を解消する技術

今後のマイルストーン

義手・義足の方にウェアラブルデバイスのニーズをヒアリング調査します。

電動義肢やサイボーグ技術などに精通する専門家のみならず、多様な分野の人との意見交換・ディスカッションを通して生体データを活用した新規サービス・製品の開発・提案を進めます。

データの活用について、マッチングパーティー事業者、地方自治体およびスポーツリーグ、スポーツチーム、スポーツメディア、通信事業者、鉄道バス事業者といった業界の方を巻き込み、産学連携での議論・検討を進めたいと考えています。

これまでに得たアイデア、議論で生まれたアイデアを整理し、実現に向けての取捨選択をしていきます。

必要なリソースや提案したいこと

アイデアの社会実装に向け、以下のステークホルダーとの協働を提案し、産学連携につなげていきたいと思います。

・義肢、ロボットアーム、サイボーグの開発者・研究者・利用者
・マッチングパーティー事業者、地方自治体
・スポーツリーグ、スポーツチーム、スポーツメディア、通信事業者、鉄道バス事業者、自治体

アクションリーダー プロフィール

村尾和哉

立命館大学情報理工学部 准教授

団体/企業詳細

団体名
  • 立命館大学情報理工学部 准教授 村尾和哉
連携パートナー
  • 株式会社Xenoma 網盛一郎、社会福祉法人太陽の家 池部純政、株式会社aba 宇井吉美、公益財団法人日本デザイン振興会 加藤公敬、株式会社A-Lab 島谷直志、日本科学未来館SC 田中沙紀子、株式会社Xenoma 富取祐香、W Innovators 中塚智恵、株式会社キビテク 林摩梨花、NPO法人ETIC. 米田直子、科学コミュニケーター/日本科学未来館元SC 本田隆行

応援メッセージ

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