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離島にしかない魅力をICTで発信!

独立行政法人国立高等専門学校機構 佐世保工業高等専門学校

実行中

更新日:2021.10.20

私たちは、長崎県内の離島が「それぞれに離島の問題を議論し、それぞれに価値を見出し発信していく」従来の方策から脱却して、相互に連動して情報共有と活動機会の増加を促す仕組みをつくりました。この仕組みにより「離島生活と科学技術の結びつき」「離島内で科学技術を学ぶ方法」を児童・生徒・市民が共有し、「島外で学んだ後,地元に戻って貢献する」「島に残りながらイノベーションを起こす」ため、離島においての新しい教育方式を定着させます。

具体的には、複数の離島地区の自治体および小中高、離島地区の専門機関、本土の大学・高専等をICTで接続し、相互コミュニケーションを活発化することによって、離島内で科学技術を学び、かつ、島外と活発に交流することを促して、離島の諸問題を解決しようとする市民の動きを内発的に生み出そうとしました。

キーワード

アクション詳細

目指す社会のあり方、ビジョン

個々の離島だけで完結的に解決できない課題直通の交通網乏しさに起因する離島間コミュニケーション経済的実施コスト負担を乗り越えて解決する必要があります。そのために、島外の高等教育・研究機関離島地区内の専門機関(研究所・博物館等)離島地区の自治体およびその小中高校をテレビ会議システムやテレプレゼンスロボットなどのICTによって接続し離島に住む就学世代およびその親世代が自発的に島外とコミュニケーションを取り学びの場でアクティブに行動できる環境整備目指しました 

現状とビジョンのギャップ、課題の構造

離島地区が抱える諸問題は、交通の不便さに起因するものなどを含め、少なくありません。特に高等教育機関が乏しく、それに伴い若年人口が減少しています。本土に比べて、10~20代人口の減少が顕著です。 

一方で、離島の資源や価値を守り、その魅力を発信していくことも重要な課題です。世界中で対馬島内にしか生息しない天然記念物・ツシマヤマネコを代表とする、その離島にしかない資源や価値は、今、消滅の危機に瀕しています。 

アプローチの方法

私たちは、科学技術振興機構(JST)科学技術コミュニケーション推進事業「問題解決型科学技術コミュニケーション支援」平成28年度採択企画として、離島に新しい教育方式を定着させることを目指しました。 

その目標に向けて、個々の離島がそれぞれに課題対処する従来の方式から、相互に連動して情報共有と活動機会の増加を促す仕組みづくりに取り組みました。具体的には、ICTの利活用(テレビ会議、テレプレゼンスロボット、ポータルウェブサイト)により、離島でも科学技術教育を享受し、島外イベントへの参加や情報収集・情報発信を可能にしました。また、離島間での相互交流に島外の研究・教育機関も参加し、より発展性の高い情報交換の場も提供しながら、研究者のアウトリーチ活動と一般ボランティアのニーズとシーズを一元化するために、ハブ機能を有するポータルウェブサイトを構築しました。 

これまでの活動実績

◆ICTの利活用 

・ウェブミーティングを利用した遠隔セミナー(現地課題学習に遠隔で参画し、技術相談に応じる等、参加者と講師の負担を軽減して実施可能) 
・講演のインターネット中継や講演のアーカイブ動画公開 
・インターネット通話による複数地区接続および双方向コミュニケーション体験 
・異なる地域の同世代児童が同テーマでICTを利用して交流 
ICT機器の導入により、旅費負担を小さくしながら交流する機会を提供 

◆情報発信、交流の場の提供 

3年間で20回以上の活動を実施しました。JST サイエンスアゴラやサイエンスカフェ@させぼ、離島4地区を交えたシンポジウムを開催などの各種イベントを通じて、対馬野生生物保護センターやながさき地域政策研究所他、多くの大学、研究機関、民間企業との連携強化を図っています。 

◆ポータルウェブサイトの構築 

活動報告や参加機関へのリンクをまとめたものや、離島地区と専門家とをつなぎ合わせるハブ機能を持つポータルウェブサイトを構築しました。 

活動紹介リーフレット

2016年10月27日 ロボットセミナー,アルカス佐世保(長崎県佐世保市) 

今後のマイルストーン

離島内で科学技術を学ぶ仕組みづくりは、さらなる継続と発展が必要です。この取り組みを通じて多くの出前講座等を開催してきましたが、継続的な講座の設置にはまだ至っていません。自治体と学生のインターンシップでの交流や共同研究のアウトリーチを通じた長期的な連携を模索したいと考えます。必要に応じて企画提案等により自治体や団体にはたらきかけ予算化などの支援も検討してもらえれば長期にわたる活動の継続が実現できます。特に自治体においては教育委員会等の学習部門に限らず産業振興課などの部署ともより一層の連携ができると考えます。 

必要なリソースや提案したいこと

工業高等専門学校である私たちの強みは産業創生といった工学分野での協力ができる点です。離島地区の自然・文化だけではない分野で貢献することで、離島地区での問題解決への機運を盛り上げたいと展望しています。 

アクションリーダー プロフィール

独立行政法人国立高等専門学校機構 佐世保工業高等専門学校

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