バイオマス複合プラスチック材料の活用によるSDGsの推進

アイ-コンポロジー株式会社

近年、温室効果ガスの排出や海洋ごみなど、石油由来のプラスチック使用に係る環境負荷が問題視されています。私たちは、代替としてバイオマスを原料として使用する新しいバイオマス複合プラスチック材料を開発しました。この新たな複合材料を用いて、木質プラスチック、バイオマスプラスチック、生分解性プラスチックの製造を行い、焼却時のCO2削減をカーボンニュートラルにより実現するとともに土壌および海洋における長期プラスチックごみの発生防止にも取り組んでいます。
また、製造をバイオマス資源が豊富な中山間地域で行い、当該地域の資源(間伐材、もみ殻、稲わらなどのバイオマス)を活用することで、中山間地域における持続可能な産業の創出や林業の活性化にも貢献しています。
アクション詳細
目指す社会のあり方、ビジョン
石油由来のプラスチックの使用量を削減すること、また、海洋プラスチックごみが引き起こす社会問題を解決することを目指しています。
現状とビジョンのギャップ、課題の構造
従来のバイオマス複合プラスチック材料は、加工上の課題から用途が限られていました。用途展開の幅を広げるためには、分散性と流動性を向上させる新規添加剤の開発や配合処方の検討が必要とされていました。
アプローチの方法
バイオマスを原料とする新しいバイオマス複合プラスチック材料の開発により、プラスチック焼却時の温室効果ガス削減など、環境負荷の軽減に貢献しました。
この取り組みは、中山間地域における持続可能な産業の創出や林業の活性化、未利用バイオマスの有効利用を検討中の地方自治体や企業、研究機関との協働で進めています。
▼バイオマス複合プラスチック材料の活用について
これまでの活動実績
石油由来のプラスチック使用量を削減するとともに、海洋ごみやマイクロプラスチックの社会問題解決に貢献しています。
添加剤の開発と配合処方の科学的検討により、従来の複数の技術課題を解決し、バイオマス複合プラスチック材料の利用範囲を飛躍的に拡大させました。バイオマス粉(木粉)と既存のプラスチックを複合化し、温室効果ガスの発生量を抑制できる低炭素化材料を開発し商品化を実現しました。たとえば、木、竹、澱粉などのバイオマスフィラーと、植物原料から製造されたプラスチック(BioPE、BioPP、ポリ乳酸他)を複合化。温室効果ガスの発生量を最大限抑制できる脱炭素化材料を開発し、評価用サンプルを出荷中です。
さらに、コンポスト条件下や土壌中、海洋でも生分解する生分解性バイオマス複合プラスチック材料(Biofade)も開発し、評価用サンプルを出荷中です。
加えて、複数の地方自治体との間で協働の検討を開始しました。
バイオプラスチック複合材の製造をバイオマス資源が豊富な中山間地域で行うことにより、持続可能な産業の創出と雇用の拡大を推進できます。また、間伐材等の未利用残材を有効利用し六次産業化することで林業の活性化や、森林整備、森林災害の減少にも寄与します。地方自治体や企業・研究機関との共創の推進を図ることにも貢献します。
この取り組みの事業の展開性、包摂性が評価され、2019年度「STI for SDGs」アワードの優秀賞を受賞しました。
▼3種類のバイオマス複合プラスチック材料
▼バイオマス複合プラスチック材料製造過程の炭素循環
▼バイオマス複合プラスチック材料のボトル[ブロー成形]
今後のマイルストーン
これまでに、この新しいバイオマス複合プラスチック材料を用いて、複雑な形状をもつ製品への展開も可能としました。用途によって、もっと柔らかいもの、火に強いものなど要望はさまざまです。これらのニーズによりスピーディーに応えて、海外に負けない競争力を持つためには、産官学の連携が必要だと感じています。
必要なリソースや提案したいこと
ヨーロッパよりも先行していた木質プラスチックの射出成形の技術を眠らせるのはもったいないと、5年前に独立して会社を設立しました。最初は見向きもされませんでしたが、この1、2年、日本でもようやく企業が環境問題に目を向けるようになってきました。今やEU諸国の取り組みは進んでいて、技術的にも追いつかれて、逆に抜かれるレベルになっています。EU諸国では少し高くても環境に良いものを消費者が選択するようになっていますので、海外進出企業はそのあたりを意識されています。
アクションリーダー プロフィール
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小出 秀樹
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アイ-コンポロジー株式会社 取締役/
化石資源由来のプラスチックの使用量を削減するため、カーボンニュートラルなバイオマス粉と各種プラスチック(リサイクル品を含む)とを複合化したプラスチック材料を開発し市場への展開を進めています。また、海洋プラスチックごみやマイクロプラスチック問題に対応するため、バイオマス粉と海洋生分解性を有するプラスチック類との複合化を行い用途開発を開始しました。
団体/企業詳細
- 団体名
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- アイ-コンポロジー株式会社
応援メッセージ
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僕も、自分のできることをやってみます。
2021.10.21
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あらためてsdgsのことについてしりました。
2021.10.21
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