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自然と共生するタオル製造に挑戦

株式会社スマイリーアース

実行中

更新日:2021.09.01

私たちは、10年余りの研究開発によって、綿と水のみを使用する「綿の自浄作用」で綿繊維から油分や不純物を取り除く特許技術「自浄清綿法」の開発により、循環型環境ストレスフリーを実現したタオル生産プロセスを構築しました。この技術によって産業廃水の無害化を実現し更に地域の里山の間伐材(バイオマス資源)も利用することで、タオル製造内における脱石油化を実現してきました。

こうした取り組みを通じた、地域の地場産業であるタオル製造が引き起こしてきた河川汚染という社会課題解決へのアプローチと脱炭素社会構築に向けた技術革新、また独自の持続可能なアプローチ手法が評価され、2018年には第7回ものづくり日本大賞 経済産業大臣賞、2019年には科学技術振興機構(JST)主催「STI for SDGs」アワード 優秀賞を受賞しました。

キーワード

アクション詳細

目指す社会のあり方、ビジョン

タオル製造における化学薬剤依存による河川汚染によって、私たちの地元に流れる樫井川が、1998年に環境省による全国河川水質調査で日本ワーストワンを記録したことは、大きな問題意識を生み出しました。

1887(明治20)年から続く大阪泉州地域の伝統地場産業であるタオル製造業の継続的発展に向けて、水資源の保全、枯渇するエネルギー資源への対策に貢献する生産プロセスの開発が求められています。

現状とビジョンのギャップ、課題の構造

綿花はそのままでは水を吸収しません。水を吸収するタオルに加工する過程で、通常は化学薬剤が使われます。せっかく原材料にオーガニック栽培した綿花を使用しても、化学薬剤で加工したのでは本当のオーガニックとは言えないのではないかという疑問から、化学薬剤に頼らない技術の開発を目指してきました。「日本タオル製造発祥の地」を背負うタオル職人として、地域を汚さぬ形で地場産業の継続を目指す。そんな当たり前の挑戦に私たちは挑戦しています。

アプローチの方法

綿花は油分を含み、水を弾きます。そのため、タオル製造では「精練」と呼ばれる工程で、綿繊維から油分や不純物を取り除きます。そのために化学薬剤や染料などが用いられ、これらを含む処理水が大量に流出します。

タオル製造で排出される処理水が引き起こす河川汚染を解決するために、私たちは脱化学薬剤依存を掲げ、10年余りの研究開発の末、化学薬剤に頼らず綿と水のみを使用する「綿の自浄作用」で精錬する、化学薬剤に頼らない特許技術「自浄清綿法」を開発しました。

この技術などによって産業廃水の無害化を実現した上、バイオマスエネルギーも利用することで、タオル製造の脱石油化、循環型環境ストレスフリーのタオル生産プロセスを構築しています。

▼綿からにじみ出た有機成分が水と反応し、綿繊維に含まれる油分や不純物を落としている工程

▼仕上げ洗いにはウガンダ産のオーガニックシアバター石けん(植物性油脂)と水を使用

▼化学薬剤を使わない循環型環境ストレスフリーなタオル生産プロセス

これまでの活動実績

綿繊維から油分や不純物を取り除く処理工程を、化学薬剤を使用せず、綿と水のみで行い、タオル生産工程全般において、環境に配慮した資源の好循環システムを構築しました。これにより、化学薬剤の使用量を約500分の1に削減し、工場廃水を無害化しました。エネルギー調達においては、里山保全の間伐材をバイオマスエネルギー利用したことで、タオル製造の脱石油化を実現しています。間伐材の灰は殺虫剤として利用することで資源の循環利用システムの構築につなげました。

新たに異分野連携も図られました。水資源を好循環させるシステムを構築したことで農業分野と、間伐材利用でエネルギー調達をバイオマス化したことで林業分野とも調和しています。

今後のマイルストーン

究極的には処理水を水資源として作物栽培などに再活用する地域資源循環型タオル製造エコシステムを構築し、新たな時代のタオル製造工場として「Nature Towel Factory = 自然と共生するタオル工場」を構築し、タオル製造の未来を変えていきたいと考えています。

必要なリソースや提案したいこと

現在、当社では独自で積み上げてきたタオル製造の変革の歴史や、更なる変革に向けた取り組みをオープン化(工場見学・オンラインウェビナー・講演など)していく取り組みを進めています。

アクションリーダー プロフィール

奥 龍将

株式会社スマイリーアース 代表取締役社長/
タオル製造会社の3代目としてタオル製造の環境問題の解決に取り組む若きタオル職人。2018年に第7回ものづくり日本大賞を受賞した後、2019年に「STI for SDGs」アワードで優秀賞を受賞。自社のタオル製品の原料であるオーガニックコットンの供給国であるウガンダ共和国と強いパイプを持ち、ウガンダ共和国の政府特命コーディネーターとして日本ウガンダ共和国間の友好親善にも貢献し、2018年に在外公館長表彰を受賞。
箱根駅伝ランナーという経歴を持ち、元アスリートとしての経験を自身のタオル作りに注ぎ、「自然と共生するタオル製造」を目指す「 Nature Towel Factory 」の実現を目指している。

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