健全な水循環社会の実現を目指す

琉球大学、沖縄県

沖縄の島々は水資源の枯渇や水質の悪化、赤土流出など、様々な水問題に直面してきました。琉球大学と沖縄県はシンポジウム「SDGs × 沖縄・島じまの挑戦2018」を共催し、産学官それぞれの視点から報告された「水」に関する地域課題や取り組みをもとに登壇者とその解決策を議論しました。
このシンポジウムは、科学技術振興機構(JST)の科学技術コミュニケーション事業・未来共創イノベーション活動支援に採択された「水の環」プロジェクト(琉球大学、沖縄美ら島財団、湧き水fun倶楽部)の企画協力によるものです。同時に、県庁1階ロビーでポスター展(日本科学未来館協力)を開催するなど、市民が地域課題の解決とSDGsの達成を自分事として考えるための多様な対話の場が企画されました。
これらにより、参加者間において循環型社会の実現のためにSDGsで言われる多様なアクターとのパートナーシップの必要性が共有されました。
アクション詳細
目指す社会のあり方、ビジョン
沖縄の島じまでは、近年の居住・観光人口の増加に伴って土地利用が進み、地下⽔や湧き水の塩⽔化・枯渇化,飲み水用水源の⽔質悪化,農業用水や観光⽤水の不⾜、水質悪化による生き物や農作物への悪影響など、さまざまな問題が起きています。
このシンポジウムに企画協力した「水の環」プロジェクトは、「水の環でつなげる南の島のくらし」をテーマに南の島の水の大切さについて学び、水資源をいかに次世代へ受け継いでいくか、また水の利用・保全のあり方について地域住民を巻き込みながら共に考え、共に行動することを目指しています。
現状とビジョンのギャップ、課題の構造
これらの問題の解決には、南の島に特有の⽔の流れ(水循環)を科学的に把握すること、⼈間活動が環境に与えている影響をやわらげるための技術開発をすることが重要です。さらに、これらのことに加えて、きれいな水を使い続けることができる社会をつくるためには、地域の皆さんと共に水との関わり方を見つめ直すことが欠かせません。
アプローチの方法
今回のシンポジウムでは、産学官民の各ステークホルダーと共に高校生・大学生といった次世代を担う若者が参加し、沖縄の島々が抱える水循環に関する地域課題の共有と、その解決策を議論しました。
国際連合大学上級副学長の沖大幹氏は「~水と持続可能な開発~」と題して基調講演を実施。平成26年に制定された「水循環基本法」に触れ、「統合的な流域の管理や国際的な水循環に関する協調の重要性が明示された」ことを紹介しました。
沖縄県企業局配水管理課計画班長の石原祥之氏は自治体の取り組みとして、沖縄本島や離島での水道の概況(水量・水質・経済(価格)的な差)と課題解決のための計画を紹介しました。
ワイズグローバルビジョン株式会社取締役会長兼CTOの大嶺光雄氏は、企業の取り組みとして小型の海水淡水化装置に関する開発・導入事例を紹介しました。
沖縄県立八重山農林高等学校教論の前里和洋氏は市民や教育側の取り組みとして、地下水の水質保全のために有機肥料の開発に取り組んだ事例紹介と次世代人材の育成支援の必要性について言及しました。
琉球大学理学部教授の新城竜一氏は大学の取組事例として、①基礎研究、②応用開発、③地域住民とともに取り組むシチズンサイエンスを柱とした「水の環でつなげる南の島のくらし」プロジェクトの概要と活動を紹介しました。
最後に実施されたステークホルダーミーティングでは、セクターを超えた連携のあり方についてや、会場からの質問をもとに議論を深めました。
▼シンポジウム「SDGs × 沖縄・島じまの挑戦 2018」のポスター
▼シンポジウム会場の様子(沖縄県立博物館・美術館講堂)
▼ステークホルダーミーティングの様子(沖縄県立博物館・美術館講堂)
▼「SDGsの視点から沖縄の未来を考えよう!」「2030年までに叶えたい沖縄の未来」と題した来場者参加型企画
(シンポジウムの会場となった沖縄県立博物館・美術館内)
アクションリーダー プロフィール
- 琉球大学、沖縄県
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登壇者:
・国際連合大学上級副学長 沖大幹氏
・沖縄県企業局配水管理課計画班長 石原祥之氏
・ワイズグローバルビジョン株式会社取締役会長兼CTO 大嶺光雄氏
・沖縄県立八重山農林高等学校教論 前里和洋氏
・琉球大学理学部教授 新城竜一氏
・科学技術振興機構「科学と社会」推進部部長 柴田孝博氏
・東京海洋大学海洋科学部教授 川辺みどり氏
・琉球大学理事・副学長 西田睦氏
・琉球大学農学部助教 安元純氏
・沖縄県企画部地域・離島課副参事 宮里健氏
(所属・役職は2018年2月時点)
団体/企業詳細
- 団体名
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- 琉球大学、沖縄県
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