公立大学を中心にした地区防災教育 「いのちを守る都市づくり」
大阪市立大学都市防災教育研究センター

活動の目標として3つの仕組みを実現することを目指しています。
①地区の災害リスク(社会的脆弱性、地理的脆弱性)の正確な理解の仕組み
②人の防災力(リスク学習力、即時対応力、環境改善力)の向上の仕組み
③コミュニティの防災力(連携力、拠点力)の向上の仕組み
従来の防災は行政主導の画一的な防災活動ガイドラインに基づくため、地区ごとの特性に基づいたきめ細やかな防災教育でなく、緊張感のない結末の決まった訓練となっていました。結果的に参加者の主体性は失われ、自分自身や身の回りの問題の気づきや改善に全くつながらないものでした。
この課題に対して地区ごとの災害リスクを住民自身で点検し、アクティブラーニング型災害対応訓練を通じて、リアルな生活の場所で能動的に避難訓練することで、確かな防災力の向上につながる仕組みを実現するための方法を明らかにしたいと進めています。
アクション詳細
目指す社会のあり方、ビジョン

地区防災計画ガイドライン策定により、広域複合災害時の情報遅延や混乱、避難遅れ、避難経路選択ミス、弱者被災などの課題解消にむけた確かな防災力向上が必要とされており、自助・共助によるコミュニティ防災の仕組みをつくることが急務となっています。
また、これまでのシナリオのある受動的な防災訓練では、実際の災害時における判断力・対応力を養うことは難しく、災害リスク特性を踏まえて住民自らが生活現場で能動的に取り組む災害対応訓練を地域で実施することが望ましいと考えています。そうしたボトムアップ型のコミュニティ防災活動に転換するため、地域間で相互交流・評価改善するネットワークが重要となっています。
画像:コミュニティ防災に関わる仕組みと実現までのイメージ
現状とビジョンのギャップ、課題の構造
私たちは、災害弱者を含む住民の確かな防災力の向上のための仕組みづくりにむけて、2 つのネットワーク、公立大学防災センター連携とコミュニティ防災協議会を組織し、地区防災教室ネットワーク構築を目的として、日常的なコミュニティのつながり拠点となる小中学校を活用した地区防災教室の開設し、実際の地区で最も起こりうる災害をリアルタイムで再現し、自分の役割を訓練するアクティブラーニング災害対応訓練などの教育プログラムを導入する活動を実施しています。
アプローチの方法
JST 科学技術コミュニケーション推進事業「問題解決型科学技術コミュニケーション支援」平成27年度採択企画として、各地域にあった防災力獲得に対する具体的な解決策と仕組みの開発を進めました。
具体的には、「昼夜間に非住民を多く抱える地域」を対象(阿倍野区など)に小中学校を活用し日常的なコミュニティのつながりを強化。個々の役割を認識するための教育プログラムやアプリを開発・導入しながら多分野の研究者が参加・協働し、地域と緊密な連携を図るべく「ボトムアップ型のコミュニティ防災活動」を目的とした相互交流のある国内外のネットワークづくりをしました。これに際して、行動心理学のアプローチで防災行動のステージを把握し、適切な地区防災教室を展開しました。
これまでの活動実績

国内外の公立大学の連携会議を組織化し、地区防災教室ネットワークの共創開発の体制を整えました。
具体的には、公立大学防災センター連携による地区防災教室ネットワークの構築に向けて、「公立大学防災センター連携会議」と「コミュニティ防災協議会」を立ち上げ、国内86の公立大学と防災センター間の連携を拡充しました。この2つのネットワークで、「都市防災研究シンポジウム」、「コミュニティ防災フォーラム」等の公開研究会などを実施しました。

また、ネットワークをつなげて防災力の強化・向上、地域イノベーションにつなげようと試みました。
具体的な展開としては、各地域で地区防災教室(ワークショップ、公開講座、サイエンスカフェ、防災まち歩き、アクティブラーニング災害対応訓練、市民対話)を展開し、体制の確立、地区防災教育プログラムの共有化を図りました。地区防災教育プログラムの共有化では、以下のことに取り組みました。
・防災教本として地区防災教育ワークブック「コミュニティ防災の基本と実践」を展開
・ネットワーク上で活用できる「いのちを守る力ドリル」の公開など
・防災教室の現場で活用できるアクティブラーニング災害対応訓練
・防災まち歩きに対応する拡張現実アプリ「CERD-AR」の開発
・e-ラーニングシステムの構築
さらに、国外でも通用する防災教育・研究成果を展開に向けて、コミュニティ防災教育への実施に向けたネパール共和国カトマンズとの連携、大阪教育大学附属高校平野校舎におけるタイの高校生との意見交換、兵庫県立大学が立ち上げたGlobal academic network for disaster reduction and reconstruction(GAND)への正式な参画(ガジャマダ大学、コパ工科大学、横浜市立大学など国内外大学との連携)、その他、防災教育に関する協定締結に向けた活動(UCLA、UCアーバイン)も行いました。
今後のマイルストーン
地区防災教室ネットワークの自立運営や地区防災教室の中核人材の継続教育を考えています。
必要なリソースや提案したいこと
地区ごとの災害リスクを住民自身で点検し、各地域で地区防災教室(ワークショップ、公開講座、サイエンスカフェ、防災まち歩き、アクティブラーニング災害対応訓練、市民対話)を展開するなど、アクティブラーニング型災害対応訓練を実施することで、確かな防災力の向上につながる仕組みの実現を提案します。
アクションリーダー プロフィール
- 大阪市立大学都市防災教育研究センター
団体/企業詳細
- 団体名
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- 大阪市立大学都市防災教育研究センター
- 連携パートナー
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- 公立大学防災研究教育センター連携会議
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